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ウェルカムラフト・アーバンが開催されました!

ウェルカムラフト・アーバンが開催されました!

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春を思わせるにはちょうどよい日差しが降り注ぐ天気となった横浜で、通算7回目となるウェルカムラフトが開催されました。相変わらずの晴天に、自称:晴れ男の主催者としましてはしてやったりと言ったところでして、これが10回目まで続いたら「持ってる。」と言わせていただきます。

都市河川で始まる新プロジェクト

さて、ウェルカムラフトと言っても、今回は趣旨が少し違います。これまでラフティングと言えば白波の立つ激流をスリル満点に降るイメージが強く、事実そうした環境下で行われてきたウェルカムラフトは、自然の尊さを感じたり、人と人との新たなコミュニケーションの場を作ったりする機会を提供してきました。

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しかし、川の有効活用を提唱する私達としては、もっと身近な水域である都市河川に着目し、ラフティングを使った新たな交通インフラを目指す取り組みを始めていくことにしました。「川」と一口に言ってもその形態は様々です。同時に川へのアクセスの仕方も様々で、川を有効利用するためには、より多くの選択肢が必要となります。

そんな訳で私達は、今プロジェクトのコンセプトを「ラフティングを活用した河川交通の可能性を探る」こととし、都市版ウェルカムラフト「ウェルカムラフト・アーバン」事業を創設しました。

と、いうことで行われた「ウェルカムラフト・アーバン」第1弾ですが、簡単に内容を説明しますと、舞台は横浜市内を流れる大岡川です。 同市南区にある蒔田公園内に整備された「ふれあいアクアパーク」の階段護岸を「ターミナル駅」とし、日の出町にある「川の駅大岡川桜桟橋」との間を航行します。各駅には出艇する時間を予め定めておき、定刻になったらボートが着岸し、目的地まで移動する流れとなっています。

←今回のエリアマップ

今回の目的は、設定時間通りにボートが着岸できることの他、乗船者の漕力(漕ぐ力)や配置するスタッフの数、それに川の臭いやゴミの散布状況といった現状を調べることでした。社会実験と勝手に銘打って、将来的な実効性や、他団体との協力体制を構築していく上での試金石となるような調査ができればと考えています。

始発駅に集まった最初のお客様、出艇!(※乗船料なし)

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蒔田公園の「ターミナル駅」は首都高神奈川3号狩場線の花之木出入り口の真下に位置し、大岡川と中村川との分岐点にもあたります。ここでは用意したラフティングボート2艇に7人が乗り込みます。いくら白波も流れもない都市河川と言えども、ちゃんとライフジャケットは着用します。以前より綺麗になった(市内在住者より)とは言え、川に落ちたくないのは誰を見ても明白でしたので、その危機感はライフジャケットよりも安全性を高めたとも言えます。

車の回送や出艇の準備に手間取ること45分。始発時刻である10時から45分後、ようやく大岡川にラフティングボートが姿を現しました。大岡川でボート競技の練習する地元の高校生の姿を直前まで何回かは見ていたものの、いざ自ら川に浮かぶと自然とテンションが上がります。これから激流に突撃するぞ!というのとはまた違った緊張感が、乗船メンバーを覆います。さあ、ウェルカムラフト・アーバン、スタートです!

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意外と爽やかなクルージングで「次は桜桟橋~桜桟橋~」

首都高の高架下を抜けると、川の両岸には桜の木が並び、今にも芽を出そうかと言ったつぼみが水面近くまで垂れ下がっているのが見える。天気もよいので、水面から照りかえる日差しが眩しい。ドブ川を想像していたメンバーからは臭いがないことに意外性を覚えたとの声も挙がった。そう、大岡川の川下りは意外にも爽やかな滑り出しを見せたのでした。川岸や橋からは「どこまで行くの?」とか「がんばってね!」といった声援をいただき、一同は大幅に遅れた出艇を思い出し、一路次の駅となる「日の出町桜桟橋」を目指して漕ぎを合わせます。当所、下り路線は主催者・経験者のみが漕げば事足りると想定していましたが、この日の大岡川は本当に流れがまったくなかったので、最初からフルで乗船客を漕がせてしまう結果に。全員合わせて漕げば、人間の歩行速度を少し上回るスピードが出ることがわかりました。時速4~5kmといったところでしょうか。これで大体の航行時間割り出せます。

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川に慣れてきた一行は、所々で暗黙のうちにレース展開を繰り返しながら、気づけば「日の出町桜桟橋」に到着しました。10時45分の到着予定から35分後の11時20分。待ちくたびれた新たな3人の乗船客は、ありがたいことにそんなそぶりを一切見せることなく私達を迎えてくれました。ここまでの移動距離は2kmほど。それでも全く流れのない川を、人力で漕ぎ続けると、運動不足な人には応える様で、一旦休憩を取ることにしました。そしてここでスタッフの一人が荷物の回送で下船します。9人となった一行は、桜木町の折り返しポイントまで川を下っていくことになります。日の出町からみなとみらいへの動線は、付近を走る京急や市営地下鉄にはありません。歩いていくには少し距離があります。自転車が有効なのは言うまでもありませんが、ここに河川交通が出てくると一層横浜中心部の回遊性が高まると思うのですが、いかがでしょうか。

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みなとみらい到達!都市河川の醍醐味

4人と5人とに分かれた2艇のボートは、ゆっくりと顔を見せ始めた横浜ランドマークタワーの足元まで進んでいきます。日の出町を越えると次第に付近の賑わいが増してきます。信号待ちの人たちからも注目され、マンションや川沿いにたたずむ方々からは手を振られます。頭の上を鉄道が通過し、くぐる橋も大きくなってきます。川幅も広くなり、みなとみらいは目の前です。飛び跳ねた水滴が口に入ってしまった人からは、「しょっぱい!」との感想が漏れ、そこがもう海水と淡水が交わる水域であることを教えてくれました。

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桜木町まで到達した頃にはみなとみらいの高層ビルが周囲を囲むようになりました。川から望むみなとみらいもなかなかおつなものです。自然の景色を楽しみながら川を下るのとは違った楽しみが味わえるとのことで、今後の発展性を感じさせてくれました。「次回は東京で!」という声もありましたね。折り返し予定時間は11時30分でしたが、ここでも到着が12時15分と、45分もオーバーしてしまいました。川に流れがないという理由だけでは片付かなくなってきましたので、上りは若干スピードを早めて進むことにしました。

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第一便は無事到着

折り返しポイントの桜木町から日の出町まで30分ほど遡上し、再び「日の出町桜桟橋」に着岸。ここで一人下船します。川の駅と鉄道の駅がある日の出町はアクセス抜群ですね。将来的には一大ターミナル駅となることを願います。8人になったメンバーは、流れがないとは言え、川を遡るの訳ですので、体力的な消耗も相まっておなかが減ってきます。船上から付近のオススメと言う、タイ料理屋の出前を試みるも、「ニホンゴワカラナイ」と一蹴され、しかたなく蒔田公園にいるスタッフにおにぎりを用意するように電話しました。しかし蒔田公園に到着してみるとそこにあったのはなぜか食パンと蜂蜜でした。コスト管理には優秀なスタッフらしい誤算でした。空腹は、思いもよらない力を我々に与え、下りよりも上りの方が半分近く早いという妙な結果をもたらしました。

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蒔田公園に到着したのは13時20分。午後の便から乗船するメンバーが1人到着してました。9人となったメンバーは食パンに蜂蜜をつけて食べながら、ここへきて初めて自己紹介をし、午後の便に向けて出艇の準備を始めました。休日と言うこともあり、家族連れで賑わう蒔田公園。見たこともないラフティングボートが着岸したとあっては、当然やんちゃな盛りの子どもたちは、興味を示さずにはいられません。ボートを突っついたり乗ってきてしまったりと。挙句の果てにはお母さんに追い詰められ逃げ惑う始末に。そんな昼下がりのゆっくりとした時間の流れは、どこか大岡川と呼応しているかのようでした。

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横浜港発展の鍵となった運河へ

午後からは、予定していた大岡川の往復コースではなく、中村川から掘割川へ到るコースを調査することにしました。中村川の上には河口まで首都高が走り、ずっと日陰となっている川です。日が当たらないことは川の水質にどんな影響を与えるのか。また、同地域にある大岡川との違いを見る上で興味がありました。中村川は、大岡川との分岐後すぐに掘割川とも分岐します。かつて運河が張り巡らされた横浜において、最大規模を誇ったのがこの掘割川でした。横浜港と根岸湾を結ぶ目的で建造され、掘り出された土は関内エリアの沼地の埋め立てに使われたと言うことです(参照:掘割川

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14時57分。さあ、午後便の出発です。子どもたちに別れを告げ、中村川へと進入していきます。最初に誰もが気づいたのは、川面に浮かぶゴミの多さ。今回はゴミ回収を目的としていなく、申請が必要かも調査していなかったため、回収は断念したものの、実態がつかめました。高い塀で護岸整備されているため、通行人からも川を眺めるのは困難です。大岡川と比べるとその差は歴然としていていました。中村橋の付近で掘割川と分岐します。ここへきても大きな変化が一行を迎えてくれました。海のにおいです。周囲にはプレジャーボートが係留されていて、高速道路も通っていないため空も明るく開けた印象です。そして波が立っていることも海が近いことを感じさせてくれます。根岸湾まで一直線に掘られた運河であることがわかる水域まで来て折り返します。そこから再び中村川へ舞い戻り、日の出町で下船するメンバーと新たに乗船するメンバーのために大岡川を目指します。

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夕日を追いかける最終便

大岡川に戻ると水位が上がっていることに気づかされます。潮の満ち引きも勘案する必要がありそうです。午前中も大岡川を下ったメンバーは、同じように下ること以外に新たな楽しみを見つけ出そうと躍起になっていました。水路と思しき穴を見つけると、そこは男の性でしょうか探りをいれたくなります。どこかへ繋がっているかもしれないという好奇心もあるのでしょう。橋の下もよく見ると橋脚部分に個性があります。ラフティングレースでは御馴染みのスラローム練習ができます。流れのない川でも、意外とアクティビティの可能性が溢れていることがわかりました。そうこうやっている内に、乗船の時間も迫ってきました。日の出町桜桟橋へと急ぎます

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桜桟橋へは3回目の着岸となります。午前の便で着岸した際には座って待っていられた護岸部分も、満ち潮により見事に冠水していました。ここでは4人が一気に下船します。京急の駅も近いとは言え、もう少し上下船できる選択肢、「川の駅」が欲しいですね。そして変わりに新たに2人が乗船します。ここから蒔田公園までは今回の最終便となります。日も暮れかけ、周囲にそこまで高い建物がないにもかかわらず、日陰が川面を覆っていきます。次第に風も冷たくなり、少しでも日が当たる場所を目指して漕ぎ進めていきます。乗船した1人は、FM戸塚のラジオパーソナリティです。急遽取材収録も行われ、この様子は3月25日(日)の「ラジオの絆(15:00~17:30)」番組内で放送予定ということです。

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さて、いよいよ終点の蒔田公園に到着となります。風で押し戻された意外はほぼ人力での移動となった今回の実験は、相当の疲労を参加メンバーに与えてくれました。翌日以降の筋肉痛は腕だけに留まらず、背中やもも、ふくらはぎにも及び、改めてラフティングは全身を使うスポーツなんだなということを思い出させてくれました。ボートを乾かし、後片付けをして終了となります。課題たっぷりの実験となりましたが、それ以上に多くの収穫があったことは事実です。次回開催に向け、いろいろと検証していきます。参加された皆様、有難うございました。そしてお疲れ様でした。

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課題点と今後の展望

我が国の交通機関は1分の遅れも許さないほど、ダイヤが徹底されています。これは公共交通機関を考える上で非常に重要な点でありますが、今回の実験では、まったく機能しませんでした。こうした課題をいくつか挙げ、今後の展望について少し考えて見ることにします。

(1)時間設定について

午前の出艇時間が遅れたのは事前の準備不足が招いた結果ですが、流れのない川を人力で航行することは予想以上に時間と体力が必要でした。一日を通して実施するには昼食や休憩時間も必要となり、ルートのマンネリ化も避けなければなりません。10時から17時という、「川の駅」を使える時間内でできることは意外と限られているのかもしれません。改善点としては、スタッフを増員し、2艇以上の複数のボートが個々に移動するシステムを作る必要がありそうです。レクリエーションと、交通手段という線引きも必要かもしれません。

(2)川の駅について

今回は大岡川を管理する神奈川県の治水事務所に申請し、蒔田公園の「ふれあいアクアパーク」と「川の駅日の出町桜桟橋」の二箇所を借りて「川の駅」として使用しました。大岡川においては、現状この二箇所しか一般に利用することができないため、用途は限られています。中村川や掘割川に範囲を広げてみても、状況は変わらず、人の乗り降りができる場所が十分に確保されていない以上は、川の中に閉じ込められたも同然というわけです。横浜市港湾局、横浜海上保安部によるとみなとみらいやその他の港湾エリアでの航行にはエンジンつきボートのサポートが必要ということで、完全な人力航行での実施には現状では限度があります。安全性の確保が第一であることは承知の上ですが、都市部の回遊性をより高めるには水上交通の利用を高めることも必要です。

(3)ラフティングボートの利用について

ラフティングボートはご承知の通り、川に流れがなければ完全に人力で移動するツールです。エネルギー問題が騒がれる中、究極の代替エネルギーとも言える「人力」を利用した交通手段を模索しているわけですが、ここにも課題があります。まず、乗船人数はラフティングボートでは8人が限度で、それ以上は安全性が危ぶまれます。Eボートという10人乗りのゴムボートもありますので、今後は導入の検討が必要です。次に足場です。ラフティングボートは完全に足元まで浸水しますので、濡れても良い靴やサンダルでの乗船が必要になります。通勤や通学時、買い物に利用するには少し抵抗があることは否めません。これまで体験乗船のイベント止まりであることにはこの辺りが影響しています。そして荷物の輸送にも課題があります。波のない川では安定感はありますが、人と荷物の輸送量には限界があり、足場を濡れないようにコーティングする必要もあります。等々、「気軽に乗船」といくまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

(4)既存交通機関との相互利用について

今回実施した大岡川は京急線にほぼ沿った形で流れていますが、日の出町より先は桜木町まで接続駅も乗下船場もありません。桜木町に停車する横浜市営地下鉄も並走していますが、京急の各駅から歩くには少し距離があります。日の出町~桜木町間、そして中村川においては京急沿線から元町、山下町エリアまでの動線が河川交通により大きく変わることが予想できます。既存の交通機関、とりわけ鉄道との相互利用や、レンタルサイクルの利用により、元町や中華街、山下町という個性的ではありますが繋がりがわかりにくい個々の町が一気につながります。鉄道や自動車では瞬間移動の感がどうしても否めません。これにも新たな乗下船でくる桟橋や護岸の整備が必要です。

(5)次回開催について

大岡川と一部ではありますが中村川、掘割川を航行した結果から、河川交通の課題がたくさん見つかりました。しかし課題はこのエリアに限りません。河川交通の実現性を高めるためには多くの実証実験が必要です。そのため、今後は他の都市河川でも実施していきます。第2弾は東京都心エリアを念頭に考えています。

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ウェルカムラフトは完全に都市河川に移行したわけではありません。昨年まで行ってきました激流下りのウェルカムラフトも引き続き企画していきます。4月28日(土)に御岳・多摩川開催を予定していますので、ぜひご検討下さい。私達は川下りの可能性を追求していきます。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。





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NPO法人もう一つのプロジェクト

「世界を1mm動かす。」

「もう一つのプロジェクト」は、「ゴミ拾い駅伝」、「ウェルカムラフト」、「もう一つのメディア」、「もう一つのトラベル」、それに更なる可能性と余白の追求を続ける「もう一つの事業」を手掛ける複合事業型NPOです。単一の分野にとらわれず、様々な社会的な問題を、もう一つの切り口から解決に結び付けていきます。2005年12月発足、2011年12月より特定非営利活動法人(NPO法人)